NuPhyから新作ロープロファイルキーボード「Air75 V3 」が発売されました。前作のAir60 V2を愛用していた身としては、この新作はまさに待望のモデル。ということで購入してみたところ、打鍵感が格段に進化していました。
それ以外にもデザインやキーカスタマイズ性も向上しているため、本記事で詳しくレビューします。
- Air75 V2から買い替えたいと思っているユーザー
- ミニマルでオシャレなキーボードを使いたい
- 静音性の高いロープロファイルキーボードを使いたい

Air V2シリーズと比べてみて分かったこと
- 新世代ロープロファイルスイッチ「Nano Switch」を採用
- ロータリーノブ搭載
- ガスケットマウント構造
- LEDオフで約1200時間使えるバッテリー持ち
- NuPhy IOによるカスタマイズ
- 有線、Bluetooth、2.4Ghzのトライモード
新たなキースイッチで滑らかさや静音性も向上
V3になってから、NuPhyが新しく開発したNano Switchが採用されています。従来のGateronロープロファイルではなく、新世代のロープロファイルスイッチです。
キースイッチは購入時に3つのうちから1つ選択でき、私はBlush nanoという静音リニアを選びました。これまでのAirシリーズの中では最も静音です。これならカフェでも作業できるレベル。
打鍵音にはノイズがなく、心地良い低音が特徴です。雨音のようにも聴こえるので、とても落ち着きますね。程よい重みでもあり、長文作成でも指は疲れにくかったです。
また、試しに静音スイッチを付けたAir60 V2と比較してみたところ、Blush nanoの方が圧倒的に滑らかでした。静音性も高く、完全に上位互換と言えます。
着脱可能なロータリーノブが付属で、カスタマイズもできる
製品ページを見た感じ、本体にノブが搭載されているのかと思いましたが、後付けで取り付ける方式のようです。つまり、使わない選択肢もあるということ。

本音を言うと取り付けるのが面倒なんですが、やってみると意外と簡単でした。まずDelキー周辺のキーキャップを外し、付属の工具を使いネジを外します。

さらに付属のアタッチメントを取り付け、再度ネジを締める。これだけです。

ノブのデザインは2種類で、好みに合わせて取り付けできます。


また、ノブの動作はカスタマイズもできるので、色々と活用できそうです。

取り付けの手順に関しては、下記動画が参考になります。
デザインの質が上がってオシャレになった
フレームはアルミニウム、ボトムはABSと変わりませんが、V3のフレームは、CNC加工されたアルミニウム製です。とはいえ、前モデルと並べてじっくり見比べなければ分からないほどの違いです。それでも実際に手に持ってみると、質感が高まり、高級感も増していることを感じられます。

また、V3は付属品のキーキャップを使えばブラック一色にできるので、黒色好きにたまらない。V2のキーキャップは少々ポップだったので、V3になってクールな印象になったと思います。


購入前の注意点
キーカスタマイズはNuPhy IOのみ
Air75 V3はQMK/VIA非対応の代わりに、NuPhy IOというウェブアプリでキーマッピングなどができます。画面をクリックするだけで設定できるので、初心者にも優しい設計ですね。

キーを短く押したときと長押ししたときで異なる機能を割り当てる、いわゆる「MOD-TAP」のような動作ができるのもメリットです。多機能クリックという機能で、1つのキーに3つのアクションを登録できます。例えば、CAPS LOCKキーを1回押すとBACKSPACE、長押しするとCTRLとして使えるなど。

しかし、多機能クリックを設定したキーの挙動には注意点があります。例えば、Spaceキーに多機能クリックを設定し、1回押しなら「Speace」、長押しなら「FN5」に設定しました。長押し中はレイヤー5に移動できる仕組みです。

上記の動作自体は問題なくできていますが、Ctrl+SpaceなどSpaceキーを含めたショートカットキーが正常に動作しなくなりました。
つまり、多機能クリックを設定したキーは、他のキーと組み合わせたショートカットキーを押しても機能しない?遅延設定も変えてみましたが、結果は変わらず。
まあ、単なる不具合かもしれないので、アップデートで修正されるかもれません。いずれにせよ、多機能クリックの動作は完璧なものではないということでしょう。

他にも、VIAにあった「Anyキー」が使えないようなので、例えば「Ctrl+Space」みたいな複数押しを1つのキーに登録できません。NuPhy IO自体は使いやすくて良いのですが、VIAでもカスタマイズできたら最高でした。
キースイッチの互換性がなさすぎる点に注意しよう
現状、Air75 V3で使えるキースイッチはRed nano、Brown nano、Blush nanoの3つだけ。なぜなら、新しい設計のキースイッチに対応したキーボードなので、すべての既存キースイッチが使えないからです。

無論、Kailh製のスイッチにも非対応。キースイッチを変えて遊びたいと思っている人は要注意です。
ちなみに、使えるキーキャップの仕様は変わっていません。

まあ、キースイッチのラインナップは今後増えるはずなので、そこまで大きなデメリットではないでしょう。
【結論】V2ユーザーは買い替えていいクオリティ
NuPhy IOは簡単に使えて良いのですが、個人的にはVIAでカスタマイズする選択肢も残して欲しかったです。とはいえ、NuPhy IOの方が直感的にカスタマイズできるので万人向けと言えます。
そして、とにかく打鍵感が大幅に向上しているので、Air V2ユーザーは買い替えて損しないでしょう。明らかにV2より滑らかな打鍵感で、打鍵音も上質な音になっています。

今回はキーキャップの配色がシンプルなので、前作のポップなカラーが好みじゃない人にもおすすめです。

Air75 V3のQ&A
- Air75 V3のJSONはどこ?
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本製品はNuPhy IOというブラウザのソフトウェアでカスタマイズできるため、JSONは不要です。
- キースイッチはどれを選べばいい?
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リニア(赤軸)が好きならRed nano、タクタイル(茶軸)が好きならBrown nano、静音が良いならBlush nanoがおすすめです。
- バッテリーの実際の持続時間は?
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バックライトONで約60~100時間、バックライトOFFで約1200時間
- JIS配列や他のサイズはある?
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JIS配列モデルは公式サイトのほか、DIGIARTやビックカメラなどで販売しています。Air60 V3とAir96 V3の発売は未定です。
- MOD-TAPは使える?
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NuPhy IOの多機能クリックは、MOD-TAPと同じように「1つのキーに複数の役割を割り当てられる」機能です。
- キー操作のマニュアルは?
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付属品の説明書やNuPhy公式サイトから確認できます。